「可愛かった」

「ゲホッ!」

またしてもむせてしまった。

可愛かったって、なにを言い出すんだ。

涙目で仙道くんを睨む。

「浅沼は可愛い」

突然どうしちゃったんだろうか。

なぜか色気漂う雰囲気で、しっかり見つめられている。

私はむせながら、キョロキョロと視線をさ迷わせた。

仙道くんが変だ。

明らかに雰囲気が違う。

「仙道くん、酔ってる?」

「俺が酒強いの、知ってるだろ」

勿論知ってますとも。

「じゃあ、私が酔ってるのかな。なんか幻聴と幻覚に襲われてる」

「あははは!浅沼、面白いこと言うな。でも、幻聴でも幻覚でもない。事実だ」

「事実って…」