気持ちが定まらないまま学校に行くと、友達が話し掛けてきた。


「ねぇねぇ。
奈々ちゃんと楠君、全然一緒にいないから、楠君ファンが騒いでるんだけど知ってた?」


うん、知ってる。


なんて言えるわけがないから私は無言で首を振った。


「最近仲良いから何か聞いてるかと思ったけど、やっぱ知らないか」


「そんな話、しないもん」


「じゃあ何話してんの?」


「本の話、かな」


「ふーん、本かー。
楠君って本好きなんだ。」


つまらなそうに呟いてた。




楠君は手紙の通り、奈々ちゃんと接しなかった。


不自然な位に避けてた。


奈々ちゃんは、どうして?って顔をして楠君を目で追ってた。


その視線に気付いてないはずがないのに。


きっと辛いに違いないのに、いつもと同じ顔で笑ってる。


それを見てるうちに私は決めた。


楠君に話そう。