二人で並んで歩く廊下。


何だか夢を見てるみたいでくすぐったい。


奈々ちゃんに向けられるはずの優しさを、今は私がちょっともらってる。


少しの優越感と、いっぱいの幸せで自惚れてたのかもしれない。


私でも楠君と並んで歩ける。


奈々ちゃんの代わりになれるなんて。


代わりなんて誰にもなれないのに。


そんな簡単な事も分からない程私はうかれてた。



「ありがとう、もう大丈夫だから」


「そ?よかった。
じゃあ、気をつけてね」


爽やかに片手を上げて去って行く姿もかっこいい。


ぼーっとしながら見送ってたら、誰かが楠君をグイっと教室に引きずりこむのが見えた。


急いで行こうとしたら運悪く先生に捕まっちゃって、解放された時には誰もいなくなっていた。