四通目の手紙だ。


私の手はやっぱり封を切っていた。


こんなに想われて、彼氏もいて、奈々ちゃんは恵まれすぎてる。


楠君の気持ち知ってる癖に、それでも引き留めておきたいなんて、奈々ちゃんはずるい。


この頃には、私の中の奈々ちゃんはすっかり色褪せいた。


もう前のように輝いては見えない。


可愛いらしい笑顔も、憧れだったふわふわの髪も、すっかり褪せてしまっていた。




今日も楠君は私の所にやってきた。


私は昨日の事もあり、周囲の視線が気になった。


でもそれと同じだけ嬉しさで胸が踊った。



「読んでる?」


ドキッとした。


一瞬、手紙の事を言われたみたいに思えた。


そんなはずないのに。


「うん、読んでる。
でもやっぱり私には難しいかな…」


「最初は確かに難しいんだけど、中盤からすっげーワクワクするよ」


「中盤…
そこまで読むのに何日かかるんだろう…」


「結構あっと言う間に読めるって!」


「…頑張るよ」


「おう!頑張って!
でさ?話変わるんだけど…」