楠君の行動が奈々ちゃんを避ける為のものだって、その位分かってた。


でも、その相手に私が選ばれるなんて…


昨日までろくに話した事もなかったのに、この展開は何だろう?


私は一人で舞い上がってた。


周りの冷たい視線なんて気にならない位に。




授業中、手紙が回ってきた。


仲良しの友達から。


手紙には


『マズイよ、楠君とあんな風に話したりするの。
奈々ちゃんだからみんな黙って見てただけで、楠君すごい人気あるんだし』


と書いてあった。


心配してくれた手紙。


奈々ちゃんは私と楠君を見てどう感じたかな?


やきもち妬いたり、悲しくなったりしたのかな?


楠君はきっと、妬いてほしかったのかもしれないな…


友達の心配なんてすっかり忘れて、私は二人の事ばかり考えてた。


そして、視線は楠君に向いていた。