片思い彼氏scene.教習所



ねぇ、何で嘘ついたの?




何であの人から連絡が来るの?





ねぇ




何で…?





私は何も言えないまま



その日も泰志と寝た。



「弥生…っ」




泰志が私の名前を呼びながら感じてくれてる。



それが嬉しくて




私も泰志の身体に足を絡める。





大丈夫…



きっと大丈夫――。




私は自分にそう言い聞かせた。






あの夜以来


泰志の態度がおかしい。



態度ってゆうか反応…




携帯が鳴ると、泰志は画面が見られないように


私を避ける。




だから分かるんだ


相手はきっと…『彼女』。




大丈夫だって信じてる…。



信じようとした。


だけど『信じる』って何?

思えば思う程、不安が膨らんでしまうの。




駄目だって分かってる。



やっちゃいけないって…。






――だけど私は泰志が眠った後に




泰志の赤い携帯を手に取った…。






自分がされて嫌な事はしたくなかった



だけどあの時は信じたいから見なきゃいけない…


そんな風に勝手に考えてしまった。




―ピッ




『パスワードを入力してください』



アクセス制限されててなんとなくホッとした



その反面…不信も生まれ始めた。




この事から自分が起こした行動がどんどん悪い方へ繋がっていった。






泰志は相変わらず、携帯が鳴ると


そっちに夢中になる。



寂しくて私は泰志に手を伸ばす。



「やす~…」


「ちょっと待ってね」


ベットに座ってる泰志の背中に抱き着く。



いじけてる私に気付き泰志が携帯を閉じる。



「どうした?弥生」


「だってやす、さっきから携帯ばっか見てるし」


「…ごめん!ちょっと学校の緊急連絡だったんだ」



ホントに?


『彼女』じゃないの?



「ふーん…」






膨れっ面の私に泰志が顔を近づける。


キスと同時に泰志の手が服の中に入ってきた。



「やっ…あっ」


「嘘、好きだろ?」


「やすぅ…」


好きなのに


泰志の事が好きなのに



エッチの最中は心が空だった…。






泰志が服を着てるとき、何気なく泰志の携帯に触れた。



すると泰志が慌てて携帯を奪った――…。



「…どうしたの?」



「いや…ちょっと…」



今まで我慢してたけど、もう限界だったんだ…




だから聞いちゃった…。


「…何か隠してない?」


「別に…」



じゃ何でロックしてるの?


「てか、何でそんな事聞くの?」


好きだからだよ!


不安だからだよ…。



もう頭と心がぐちゃぐちゃになってしまって訳が分からなくなってた…。





そしたら唇がゆっくり動いてた…。





「やす…佐山さんとメールしてたんだね」



泰志の表情が固まる。


「……見たの?」


「見てないよ!!ロックしてるじゃん…」


「触ったんかよ…。見ようとしてたんだ」


「…………」


「俺、あの子好きだったけどさ。今はただの友達だよ。それに、いろいろ相談乗ってもらってたんだよ、弥生の事とか…」



「…………」


何も言えない私に泰志は言葉を止めなかった。



だけど私は悲しくて、悔しくて泰志の言葉がよく聞けなかった…。




何でよりによって佐山さんに相談するの…?



次第に怒りも込み上げてきた。






「ホントは今も好きなんじゃない…?だから連絡取ってるんでしょ!」


「意味わかんねぇし…」


私だって何言ってるか自分でも分からなかったよ。




泰志の言葉がどんどん私の怒りを膨らませる。



「これ言うつもりはなかったけど、弥生の気持ち…佐山さんから聞いてて実は知ってたんだ」



え?


……何言ってるの?




ってゆーか佐山さん何考えてるの!?





確かに泰志の事気になった時、私は佐山さんに話した。



だからって本人に…



しかも勝手に教えるって酷くない?!



私の怒りが頂点に達した…。


じゃ伝える前から一人でドキドキしてた私


馬鹿みたいじゃん……。



どっちに向かって言ったのか分からなかった――。









「…死んじゃえ」