その日はすぐ時間がたったように思えた。
先生が場内を1周運転した後に私と運転を交代した。
初めて運転したからアクセルを最初踏みすぎて
ギュン!!!って発進しちゃった(笑)
ホントは笑い事じゃないくらい怖かったけど。
『ぅおっ?!』って先生のちっちゃい悲鳴が聞こえちゃった。
直ぐさま助手席の足元にあるブレーキを先生が踏んでくれて止まったけど…
『アクセルはゆっくり踏んで(笑)』
笑いながらそう言う先生は優しかった。
先生ありがとう。
初日は話すことはそんなになかった。
元々私は人見知りで、人と話すのは苦手な方。
先生も真面目で余計な話はしなかった。
まぁ、これが普通だし私も気にしてなかった。
家に帰ると私はえりに電話した。
えりは高校で出来た初めての友達で、自校にいくきっかけを作ってくれた子。
「えり~!私、今日初めて車に乗っちゃったよ♪でね、でね!!担当の先生めっちゃカッコよかったの~////」
『おぉ~?(笑)ウチの担当おじさんだよ‥。自校にそんなカッコイイ人いた??』
「うん、いたいた♪しかも多分ね、見た目が結構若いの」
『‥もしかして好きになっちゃってる?(笑)』
「えっ?(笑)」
声が裏返りそうになった。
「いや、違う違う(笑)」
『でもよくあるよね?自校の先生好きになっちゃう話』
「そうなの…?」
まぁ確かに運転してる男の人の姿は素敵。
今日身を持って知った。
だけど
恋なんて苦しいだけ。
人は愛に変わらないと幸せなんかにならない。
それに愛になるなんて奇跡。
でも愛になったって世の中そう永く相手は愛してくれない。
あいつは愛してくれなかったから――…。
先生と出会う前…
冬に差し掛かる頃、私には彼氏がいた。
松岡泰志 21歳
バイト先で知り合った大学生で
初めはただのバイト仲間だった。
当時泰志も好きな人がいて、あいつの片思いだった……
だけど泰志はフラれた。
そして
突然その知らせは彼から届いた。
そこから私とあいつの歯車が動き出した。
『俺フラれた~』
彼からのメールは最初意味が分からなかった。
何がしたくて私にメールしたのか
とりあえず返信した。
『フラれたんだ…残念だったね。』
『なんか嫌われたかも。どうしよう』
『別にそれで諦める必要ないじゃん。今までと同じ様に接したら向こうも気にしないと思うよ』
『そうかな』
『まぁ頑張れとしか言えんし』
『そうだな、ありがとな。』
それから泰志からのメールは
度々来るようになった。
『何してる?』
『お疲れ!』
短文だけどお互いにとり続けてた。
何回かやるうちに私からもメールを送るようになり
成り行きで2人で遊ぶ約束をした。
だけどバイトで見るあいつは『彼女』を引きずってる様子で…
この時からかなぁ…。
私の中で少しずつ泰志の事が気になっていたんだ。
あいつをなんとかしたい
傷心を癒してあげたいって…。
日に日にあいつの存在が大きくなっていた。
バイトで泰志と話す事も多くなり、前よりもバイトが楽しくなっていた。
バイト後、遊ぶ約束で遊びに行ったのは泰志の家。
大学に近いアパートに一人暮らしをしていた。
お互いの共通の趣味『読書』から本を借りる約束をしていた。
まぁ実は口実(笑)
別に男の人の部屋に入ったのは初めてじゃなかったんだけど
泰志と一緒っていうだけで心が芯から熱くなってた。
きっとどんな鈍感な人でも分かってしまうよ…
私、あの時泰志をずっと――――…。
「…ねぇ、俺の顔に何か付いてる?」
「えっ?」
「ずっと見てるからさ…」
「あ、いやっ!!そうじゃないよ…(笑)ごめん」
泰志から顔を逸らした…。
でもその時、
「ねぇ山崎さんさ…」
私の心臓が弾けた―――。
「手…冷えてるよ」
私の手に泰志の熱が重なる。
隣に座る泰志。
「キスしていい?」
思考が止まる…。
「え?何言ってるの(笑)?」
肩が触れる熱さ――
「…しよ?」
私の心臓だけが激しく動いていて
私は
泰志に
キスされた……。