「藤堂先生!」


鈴木主任も驚いたようで、パイプ椅子から思わず立ち上がっている。
藤堂先生は白衣の下にブルーの術衣のようなものを来ていた。首からは聴診器をかけている。


「どうしてここに……?」


唖然と呟くと、点滴をいじりながら藤堂先生はため息をついた。


「それはこっちの台詞だ。運ばれてきたって知って驚いたぞ。熱中症だってな。この季節は危険なんだから十分に気を付けろ」
「いやいや、待って。なんで先生がここにいるんですか?」


藤堂先生は個人病院の医師だ。藤堂クリニックの先生なのに、どうしてこの水島総合病院にいるのだろう?


「知り合いがここで働いていてな。人手不足だってんでクリニック終わってから手伝いにきている」