そのまま朝になっていたようだ。


覆面男がパンと牛乳を持って来たことで、それがわかった。


「あんたさ、千恵美の関係者でしょ」


あたしは覆面男へ向けてそう言った。


少しは動揺を見せるかと思ったが、男は相変わらず何も言わない。


動揺しているようにもみえなかった。


「返事くらいしてくれてもいいじゃん」


部屋を出る背中へ向けてそう言う。


男が無言のまま振り向いた。


またパンを口に詰め込まれるのかと思い、身構える。


しかし、男はそのまま部屋を出たのだった。