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それからあたしたちは普通にカッサー部の練習を見学して、教室へ戻った。


練習中に1度水分補給をしていた田中君だったけれど、特に変わった様子はなかった。


「やっぱり偽物だったのかな」


教室へ戻ってからあたしはそう呟いた。


「まだわかんないでしょ。効果が出るまでどのくらいとか、説明は聞いた?」


初美にそう聞かれたのであたしは左右に首を振った。


何も聞かずにそのまま逃げるように店を出てきてしまった。


また店に行けばいいのかもしれないけれど、今朝空地を通った時にはもうアロマのお店はなくなっていたのだ。


きっと、放課後に行ってみても別の店があることだろう。


「でも、相手が目の前で死んだりしなくて良かったよね」


そう言ったのは真弥だった。