そう思った時、真由は躊躇することなくドアを開けて階段を下りはじめたのだ。


「真由、いいの?」


後ろからそう声をかけると「大丈夫だよ」と、いつもの調子で帰って来た。


真由はここのお店の人と知り合いなのかもしれない。


そう思いつつ階段を下りて行くと、エントランスのような広い場所へ到着した。


階段の下には黒いスーツ姿の男性が2人立っていて、なんだか物々しい雰囲気がする。


「こんにちは」


真由が男性に頭を下げると、同じように頭を下げ返して来た。


「ここから先はカップル専用となります。あなたたちはカップルですか?」


突然の質問にあたしは返答に困ってしまった。


カップルといえばそうだけど、実際に隼人のことが好きなワケじゃない。