「オルキス様! 大丈夫ですか? あぁもう、どうして今頃になって!」


リリアは座席から腰を浮かせ、オルキスへと顔を寄せると、具合を窺うようにその顔を覗き込む。

もしかしたら頬に傷があるのかもとリリアは顔を青くし、恐る恐るオルキスへと手を伸ばした瞬間、ふっと小さな笑い声が響いた。

そのことに驚いてリリアが手を引っ込めようとするよりも先に、オルキスが素早くその手を掴んだ。


「心を込めて、この手で優しく俺の頬を撫でてくれ。それができたら、お前のしたことをすべて水に流してやろう」


熱っぽく求められ、リリアの頬はすぐに赤く染まっていく。

オルキスは空いている方の手を伸ばして、外とのつながりを断ち切るかのように、勢いよくカーテンを引いた。

薄暗くなってしまった空間の中、互いの存在を意識せずにはいられない。

見つめ合ったまま、リリアはオルキスの手の中から頬へと向かって、ゆっくり手を伸ばしていく。

震える指先で触れたオルキスの滑らかな肌の感触にぞくりと身体が震え、リリアの口から熱い吐息が漏れた。

オルキスは微かに顔を赤らめて、待ちきれなくなったかのように強引にリリアの腰を引き寄せた。