運命の乙女。それはいったい誰のことを指しているのか。

予言したボンダナに会えば、全てはっきりさせることが出来るのかもしれないが、その時「お前ではない」と言われてしまったら……。

いろんな感情が心の中で渦を巻き、気持ちが落ちていくのを感じながら、リリアは小さくため息をついた。


「そんなにも心苦しいというのなら、望み通り、今ここでお前を罰してやろう」


あまりにもオルキスがさらりと言ったため、リリアは言葉の意味を理解するまでにほんの少し時間がかかってしまった。


「……罰……今、ここでですか?」

「あぁ」


眼差しはとても冷たく、声音は非情にも聞こえてしまうほど冷静だった。

本気なのだと分かり怯え顔になったリリアから視線をそらさぬまま、オルキスは右手をゆっくり上昇させ……自分の頬を抑えた。


「あぁ、あの時叩かれた頬が急に痛くなってきた」

「……えっ?」


叩かれるかと思わず身構えたリリアだったが、予期せぬ展開に拍子抜けし、ぽかんと口を開けたまま、背中を丸め蹲るオルキスをじっと見つめてしまう。

しかし、時折見えるオルキスの顔が苦悶に満ちていることに気がつくと、リリアはひどく焦り出す。