「行っちゃおう」



スマホを返してもらうのは、またあとでと考えて、まずは和樹の家へとそのまま歩き出す。




「お前さー、ちゃんと持てよなー」



「ふふ、でも持ってくれるでしょ?」



曲がり角を曲がったとこで、聞き覚えのある声が聞こてきて顔をあげる。



「和樹……?」



顔をあげた先には、和樹とスラッとした女の子。



「……ったく」



あたしに気づく様子もなく、荷物を持ち直して、そのままスっと隣の女の子の手を握る。



「……え?」



目の前に広がる光景に、足がすくんで前に進めない。



「あれ?」



先にあたしを見据えたのは、和樹の隣の女の子。
あたしを見てニヤリと笑う。



「……あ」



彼女の声にこちらに目を向けた和樹もあたしに気づく。



「和樹……」


「遅かったね、亜実」



彼女との手を外すこともなく、何も気にしていないような顔であたしに笑いかける。



「……どういう、こと」