「じゃ、これから俺はお前の彼氏の友達だからな」



なんて冗談を言う雄大は、笑顔だった。
さっきの寂しそうな表情は消えていた。

手を振りあって、雄大の家をあとにする。



「遅くなっちゃったな……」



でも、きちんとここにこないと前には進めなかった。
意味があったかどうかなんてわからない。
雄大のことを吹っ切れるはずもない。

でも、和樹のこと好きになりたいなとは思ってる。
だから、それをちゃんと話す。
和樹のことだから、それでも良いからって言ってくれるんだろうな。

ふと、笑顔でそう言う和樹を想像して、ふっと笑みが零れる。



「和樹にLINEしなきゃ」



約束の時間はだいぶすぎてる。
時間になってもこないあたしのとこ、心配してるに違いない。



「あれ?」



ポケットに手を入れるけどスマホがなくて、雄大の家に忘れたんだと気づく。



「うーん……」




振り返っても、雄大の家からはだいぶ歩いてきてしまった。
もう、和樹の家に向かう方が近いほどだ。