「なんか経験者みたいな言い方だね」


「ハハ、亜実を失って後悔してるとでも言っとく?」



雄大が冗談ぽく言う。



「もう……」



本当ならどれだけ嬉しいか。
やっぱり亜実がいいって戻ってきてくれるなら、たとえ浮気していたって許すのに。



「冗談はさておき、お前和樹との約束何時なんだよ」


「13時」


「は?いま……」


「「15時……」」



時計を見上げたと同時に2人の声がハモる。



「オマエ。とっくに過ぎてるだろーが」



パコンっとそばにあった雑誌て頭を叩かれる。



「あれ……そんなに経った気がしないのに」


「……ったくもっと余裕持って来いよな!ほら、早く行けよ!」



床にあったカバンをボンっとわたされる。




「う、うん」


雄大に背中を押されて、部屋を出て一階まで降りて行く。



「お邪魔しましたー」


「母ちゃんなんていいから早くしろって」



リビングに顔をだそうとしたけど、雄大に腕を引っ張られて玄関まで連れてこられる。