「ねぇ、雄大」



雄大の腕を掴む。



「なんだよ!?まだなんかあるのか!?」



雄大は不機嫌そうな低い声のまま。



「雄大はあたしが嫌い?」


「……んなの何でもいいだろ」



雄大はあたしに背を向けたまま。



「じゃあ、どうしてこの部屋はこのままなの?」


「は?」


「この部屋」


「……部屋?」



あたしの言葉に首を傾げる。



「あたしとのプリクラとか写真とか。どうして外さないの?嫌いなら外してよ……」



こんなこと言ったら、また同じことを言われるだけなのかもしれない。
でも、何かがある気がしたから。

雄大の様子が変なまま、放っておくなんてできない。



「なんもねぇよ。はずすの面倒なだけ」


「雄大、お願いだから教えてよ」


「何がだよ」



一向に雄大の声には感情は見えてこない。



「本当の気持ち、教えて欲しい」



雄大の背中に自分の額をつける。

本当はこんなことするつもりがなかった。
潔く帰るつもりでいたけど、雄大もどこかで悩んでる気がしたから。

気がついたら言っていたし、くっついていた。