「はは、喉渇いたの?」


「……うん」


「あんな一気に飲むから」



笑いながらあたしを見る。

そんな笑顔、どれだけぶりに見たのだろうか。



「ちょっと後悔してる」


「俺の飲めよ。まだ飲んでないから」



自分のコップをあたしの前に置く。


「ありがとう」



素直に受け取って飲む。



「どういたしまして」



飲んでいる間、部屋にはゴクリとあたしがウーロン茶を飲み干す音だけが響く。




「……雄大?」



何かを考えているような様子の雄大の肩に手を触れる。



「え?ああー……」



ハッと我に返ったように返事をするけど、まだぼーっとしているようで、雄大らしくなかった。



「どうかした?」



いつも明るくて、ハッキリと何でも言うような雄大だから。
こんな歯切れの悪い雄大はあまり見たことがない。

別れることだけは、ハッキリ言ってくれなかったけど。
それが雄大の思う優しさなのかもしれないけど、だとしたらそれは残酷な優しさだ。