「雄大にとっては、もう終わってることなのかもしれないけど」


「え？」


「あたしにとってはずっとずっと終わってなくて」


「……亜実」



雄大のほうは見れなくて、下を向いたからどんな顔をしているのかはわからない。



「そのせいで前に進めなくなってるの。あたしだけ立ち止まっちゃってるんだ」


「……そっか」



雄大は反応してくれたけど顔を見るのが正直怖い。
顔を見たら決心が鈍りそうで、涙が出てしまいそうで。

ここで泣いてしまったら雄大はまたあたしに優しくするし、きっと抱きしめられる。
そしたら絶対に雄大を好きって気持ちが溢れてしまう。



「そっか。ゴメン。そんなに悩ませちゃってたんだな」



あたしの頭を撫でる。



「……っ」



この手に触れたいと思ってしまう。
だからだめなんだ。



「でも、なんで？急にどうしたんだ？」


「……あ」



言わなきゃならないのに、口ごもんでしまう。

和樹のことは自分で決めたことなのに、なんだかあたしの中から完全に雄大が消え去ってしまうようで。