「なんかっていうか……」



うまく言葉にならない。

言いたいことなんて、ひとつだけなのに。
ただ、好きだと伝えたいのに。
その言葉が難しい。



「どした?なんか相談?」


「相談というか……」


「相談なら、俺のとこなんて来ていいの?」



雄大があたしから目をそらす。



「え?」


「黒川歩がヤキモチやくんじゃないのか?」


「あ……」



そっか。
雄大は、まだあたしが歩と結婚するものだと思っているんだ。



「俺のとこなんてきたら、俺期待しちゃうんだけど」



もう1度、あたしのことをみて、そしてあたしの腕を引いた。



「……雄大」



気づくとすっぽりと雄大の腕の中。



「百合のことは、聞いた?」


「うん。嘘だったって……春樹から」


「俺は、ゆずとケジメつけて亜実とやり直すつもりでいたんだ」



雄大がゆっくりと話し出す。



「……うん」


「そんな日に、百合に妊娠を告げられて……亜実に真実を告げる勇気がなくて勝手にまた離れた。ごめん」



あたしを抱きしめる力が強くなる。