「……変わってない」



入った瞬間、感じる香りはあの頃のままだった。



「好みなんてそう簡単にかわんねぇよ」



鍵をしめて、雄大も部屋の中へとはいる。



「ん、お茶」



すぐに冷蔵庫からお茶をだして、コップに入れてくれる。



「ありがとう」



緊張で喉がカラカラだったあたしは、もらったお茶を一気に飲み干す。



「お前、飲むの早すぎ」



あたしをみて、くすくすとわらってる。



「喉、乾いちゃって」


「なんかこのやり取りデジャブだわ」


「本当だね……」



和樹のところにいくために、ケジメをつけにいったあの日。



「本当はあの日も行かせたくなんてなかった」


「……雄大」



あの日の本心を聞いて、胸がぎゅうっと掴まれる。



「で、今日はなんかあった?ケジメ?」



あたしのことを心配そうにのぞき込む。

あたしが雄大のところに自分からくるなんて、ケジメ以外にはないんだろうか。

まぁ、ある意味、ケジメではあるけどね。