「そうですか。百合さんに嫌われでも別にいいですよ」



嫌われたってなんとも思わない。
こんな人の気持ちを踏みにじるようなことをする人。
嫌われたっていい。



『亜実ちゃん、あたしの好きな人取っちゃうんだもん』


「は?」



百合さんの好きな人を取ったつもりなんかない。
むしろ、あたしが取られたほうだ。



『あたしの好きな人、みんな亜実ちゃん取っちゃうの』


「それは、百合さんじゃないですか」



あたしのほうが先に雄大のことを好きだ。
ずっとずっと好きだった。

春樹は、百合さんのこと責めないでって言ったけど。
やっぱり、そんなのは無理。

本当は、笑顔が可愛くて、大好きで、信頼だってしてたのに。

でも、さすがにあんなことされてまで、好きなままでいれるほどあたしはお人好しじゃない。



『あたしが好きな人。春樹もゆうくんも亜実ちゃんのことが大好きみたいよ?』


「でも、雄大に嘘をついてまであたしから離したのは百合さんのさんですよね?」



そんなことをしたくせに、あたしに恨みがあるというのはお門違いではないだろうか。