「うーん」



ベッドの上で、スマホの画面で雄大を表示させては消してを繰り返してる。

勇気を出すつもりでいるけど、どうにも出ない勇気。



「押せない……」



あと一歩で電話をかけるってとこまで行くのに、指が震えて押すことができない。



「わっ!?」



スマホを手に悩んでいると、最近うちにきた猫のチャーミンがあたしに激突してきて、スマホを床に落としてしまう。



「もう、チャーミン痛いよぉ」



腕を撫でながら、床に落ちたスマホを拾う。



「……え?」



拾ったスマホのディスプレイには、時間と名前が表示されていた。

これは、雄大と通話中を意味する。



「わっ!雄大!?」



慌てて、スマホを耳に当てる。



『なんでかけた方が焦ってんだよ』



スマホから聞こえるのは、可笑しそうに笑ってる雄大の声。



「あ、ごめん」


『最初、なんかすごい音してるし』



案外普通に話せてることに、ほっと一息。



「雄大、今から行ってもいいかな?」


『え?今?』



戸惑ったような雄大の声に失敗したかなと、心配になる。