「もしもし」


『亜実?雑誌見たか?』


「うん。マンションの前もすごいよ」



もう一度、カーテンを開けてみるけど、状況はかわってない。



『だよな、うちもだから』


「……そっか」



報道陣ってのは、誰がどこに住んでいるのかわかるものなのかと少しびっくりする。



『ごめんな、こんなことになって』


「ううん、あたしももっとちゃんとしてれば良かったんだけど……」


『いや、俺がもう少しちゃんと考えるべきだったんだよ。ごめんな』



歩の声にはいつもの元気さはない。



「……歩」


『俺、バカだなぁ……』



自嘲的に笑うのが聞こえる。



「……どうしたの?」


『亜実のこと、すごい好きだった』


「うん……」



あたしは、どうなんだろうって考えるけど、同じ答えなんか出てこない。



『もう、亜実にいままで通り会うことはできない』


「……っ」



歩の言葉になにかで頭を打たれたような衝撃がはしる。

歩はまだ出会ってそんなに経っていない。
それでも、あたしにとっては大事な友達だ。