「……たく、誰だよ」



春樹のスマホの着信音が鳴って、テーブルへと面倒そうに歩いていく春樹。



「あ、電話出るな」


「うん」



春樹がリビングから廊下へと移動する。

一瞬、ディスプレイをみた春樹の顔つきが優しい表情になった気がした。
あんなに面倒そうだったくせに。



「ごめんな」



少しして、春樹がリビングへと戻ってくる。



「春樹、いまのもしかして女の子?」


「え?なんで?」



春樹がびっくりしたように目を丸くする。



「ディスプレイを見た時の春樹の表情がすっごい優しい顔になったから」


「え、そうか?」



春樹の頬が赤くなっている気がするから、図星のようだ。



「うん。大切な人?」


「あー、うん。彼女」


「え!?彼女!?」



サラッと言ってのける春樹だけど、まったく聞いてなかったから、びっくりしてしまう。



「……んな、驚くことかよ」



はぁーっとため息をついて、顔を覆う。