「……っ」



辛そうな表情の歩をみてるとあたしも胸が痛くなる。



「俺、全然最初好きじゃなくて。向こうから言われて付き合って。いなくなってから存在のデカさに気づくとかバカだよな」



はぁっと大きなため息をつく。



「歩……」


「俺、かっこ悪いだろ?テレビではあんなだけど実際はこんなだよ」


「カッコ悪くなんてないよ!一途な人、カッコイイもん!」



歩の頬をあたしの両手で包み込む。



「一途ではないよ。だって、俺今新しい恋をしようとしてるから」



頬を包むあたしの手に触れる。

正面からあたしを見つめる目に、視線を逸らせなくなる。



「……歩?」


「いまは、なにもしないよ」



ニコッと笑って、あたしの頭をなでる。



「もう……」



その顔で、そんなこと言わないで欲しい。
ドキドキが止まらなくなるから。

でも、どうしても歩に進めないのは、やっぱり雄大が心の中にいつまでも居座って出ていってくれないから。