「亜実は、恋愛するのが怖い?」


「え?」



歩の言葉に彼の顔を見上げる。



「俺が恋愛怖いから。亜実は俺と似てる気がするんだよね」


「歩が……?」



正直意外だった。
こんな人気俳優だもん、たくさん恋愛してきてたまたまいま彼女がいないだけなんだと思ってた。



「俺、3年前に大失恋してさ」



歩がぽつりぽつりと話し出す。



「その頃はもう、俺結構ドラマとか出てて忙しかったかは。彼女のこと全然構えなくて」


「うん」


「寂しい思いをさせてしまったんだろうね。浮気されちゃったんだよね」



歩がははっと笑う。



「笑わないで……辛いのに笑わないで」



歩と繋ぐ手にさらに力を込める。



「俺の事好きだけど、テレビで見る方が多いって言われたんだ」


「……そんな」



芸能人でいる彼と付き合った時点で、そんなの想像ついていたことではないだろうか。



「あいつは同級生でさ。あまりテレビに出てない頃から俺のこと見ててくれてて。会えなくても好きでいてくれるって、思い上がってたんだよな」