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「亜実」


「歩!」



春樹の家。
東京来てから既に1週間が経っていた。

ちょうど大きな仕事もないみたいで、この1週間毎日歩は会いにきてくれていた。

だから、歩にはとても慣れた。



「散歩でも行かない?」


「うん!」


「ごめんな、散歩くらいしか行けなくて」


「仕方ないよ!これだけでもあたしは結構楽しいんだよ?」



有名人な歩とは大っぴらなデートなんてできない。
俳優といえど、アイドル的な売り方をされている彼はスキャンダルなんてご法度なのだ。



「公園でも行こうか」



手に持っていた帽子を被って、サングラスをかける。



「うん」



あたしの言葉に、ニッコリと笑ってあたしに手を差し伸べる。
あたしも、そんな彼の手を握る。

こうしてよく手も握るけど、あたしたちは付き合っているわけではない。