そんな姿をみて、たとえ芸能人だとしても普通に男の子なんだなって思った。



「む、無理だよ!」



でも、あたしにはやっぱりまだ誰かを見ることなんてできなくて。



「無理ってひでぇ」


「いや、あの!初対面です……し」



いくら、何度も画面越しみていて好きなタイプの俳優だったとしても。
知り合ってすぐの人を好きになるのは無理だ。



「友達からでどうかな?」



後部座席からひょっこり顔を覗かせる黒川歩。



「友達から……」



雄大と似ている顔で、そんなことを言われてドキドキしないなんて無理だ。



「歩はいいやつだよ。俺が保証する」



横からは春樹の言葉。



「友達からからなら……」



「やった!よろしくな!」



嬉しそうに笑って、あたしに手を差し伸べる。



「はい、お願いします」



あたしもそんな彼の手に自分の手を重ねた。

まさか、今人気俳優である黒川歩とこうして、握手をする日がくるなんて。



「あと、呼び捨てでいいからね」


「あ……」