「なぁ、歩」



運転をしながら春樹が後部座席の黒川歩に目をやる。



「ん?」


「お前、いま彼女いんのか?」


「はぁ!?いねーの知ってるだろ。なんだよ、いじめか!?」


「うん。知ってる」



おかしそうに春樹が笑う。



「ちょ、お前悪魔かよ」



後部座席から春樹の頭にチョップをする。

この2人仲がいいんだなぁ、となんだかほっこりする。
メンバー以外との交流を見たことがなかったし、聞いたこともなかったから正直意外だった。



「だったら、亜実と歩付き合えよ」


「「は!?」」



春樹の言葉に2人とも同時に反応をする。



「はは、息ピッタリ」


「いやいや、いまのはそうなるだろ」



楽しそうな春樹と呆れ顔の歩。
あたしは何も反応ができない。

だって、春樹が突然変なことを言い出すから。



「歩は、うちにある写真みて、亜実のこと気に入ったんだよ」


「いや、お前それ言うなよー。恥ずかしいだろ」



照れたように顔を覆う。