「ゆずは何かあったの?」


「いやぁ、また振られちゃったよ!まぁ、慣れてるけどねー」



へへっと笑って見せるゆず。



「……振られた?」


「うん。今回こそはいい感じに慣れたと思ってたけど、やっぱり無理だったかー」



ゆずは元気ないそぶりもなく、いたって普通だ。



「……大丈夫?」


「あたし?慣れてるからかな?なんか振られるのなんとも思わなくなっちゃった」



ぺろっと舌をだす。



「そっか……」



言っていた通り、ゆずとケリを付けた雄大。
なのに、どうしてなのだろう。

選んだ相手はゆずじゃなかったらしい。



「あっ!もうこんな時間!」



ゆずの言葉にあたしも時計に目をやる。



「やば!今日、百合さん来る日!」


「百合さん、はやいんだっけ?」


「そう!早くいかなきゃ、百合さんきちゃう!」



百合さんは毎週日曜の朝イチで来店する。

通常は髪の毛を揃えるだけだけど、月一でパーマやカラーをしていく。

開店よりも前に来る事がオーナーから許されているから、もしかしたらもう来ているかもしれない。