「時間、かかるかもしれない」


「待ってる」



ゆずのこと、無下にするとかそんな人ではないはずだから。

恋愛とは別のところでゆずのこと、大切に想ってるのわかってるし。
ゆずは、あたしにとっても大切な存在で。

でも、この気持ちだけは譲ることはできない。



「けじめ、つけるから」


「うん」


「亜実は何があっても俺の気持ちだけ信じてて」


「うん」



あたしを見る雄大の優しい瞳に、こくりと頷く。



「だから、それまではたまに会おうな」


「これって浮気になるのかな?」


「浮気……俺とゆず、まだ付き合ってないし浮気とは違うんじゃねーの」



自分でことばをだしてあれだけど、浮気という言葉があたしの胸に突き刺さる。

雄大の過ちで終わりを告げた、高二の春。
あんな悲しい思いはしたくない。
ゆずにもして欲しくない。

だから、今回はきちんと終わりにして欲しいんだ。



「俺、ずっと後悔してた」



雄大が苦しそうな顔になる。



「雄大?」


「高二の春、雪に脅されてアイツと寝たけど……」