「よーし、ドライブしよう」



あたしの頭を撫でてから、助手席のドアを開けてくれる。



「雄大の車はじめてだね」



この前はあたしの運転だったけど、今日は雄大の運転。

この助手席には、ゆずが先に乗ってるんだろうな。とか考えても仕方ないことが頭に浮かんできてしまう。



「ここに、ゆずは座ってないよ」



あたしの考えを読み取ったように微笑む。



「……え?」


「なんとなくさ、助手席には亜実を乗せたいつてずっと思ってて……再会できる見込みもなかったけどな」


「雄大……」



胸の中に暖かい気持ちがふわふわっと湧き上がってくる。

好きな人がずっと自分のことを同じように考えてくれていた。
これ以上の幸せなんてないよ。



「俺、結構ゆずに期待持たせるような事言ってんだよ」


「うん……」



それはあたしも感じてた。
ゆずからいつも聞いていた〝好きな人〟
何度も振られてはいるみたいだけど、きっとそろそろゆずの想いは叶うんじゃないかなって思ってた。

それが雄大だってわかってたら、応援なんてしなかったのに。