「……ん」



帰ってきて、すぐにベッドに横になったあたしはいつの間にか寝ていたらしく、着信音で目が覚める。



「電話……?」



ベッドから降りて、机の上にあるスマホを手にとる。



「……え」



覗き込んだ画面に表示されていた名前に声がつまる。



「……雄大」



その名前を口にするだけで、溢れそうになる気持ち。

この前、連絡先を交換したけどもう使われることなんてないと思ってた。



「……もしもし」



深呼吸をして、スマホを耳に当てる。



『今、大丈夫か?』


「……うん」


スマホから聞こえる声はどう聞いても好きな人の声。

いまこうして、雄大から電話がきているという事実に胸が高鳴る。



『お前、いま外に出てこれるか?』


「……え?」



雄大の言葉に窓の外に目をやる。



『出てこいよ』


「……っ、うん」




家の前であたしの部屋を見上げる雄大と目が合う。



「いま、行く!」



スマホを持ったまま走って階段を降りて、外に出た。