「そんなんじゃねぇけど、専門のときのやつらはみんな知ってっけど、違うヤツに知られんのは恥ずかしいって」



あたしの知らない専門時代の雄大。

〝専門のときのやつら〟
雄大には、あたしの知らない人間関係がすでにたくさんある。
それは、もちろんあたしもそう。
でも、雄大のことはなんでも知っていたいとおもってしまう。

そのあたしの知らない数年間を全部知ってるであろうゆずが羨ましくて仕方ない。

さっきまで、ゆずの恋愛をめちゃくちゃ応援していたのに。
もう応援なんかできない。



「ねぇ、亜実ちゃん。雄大のことまだ好きなの？」



ふたりに聞こえないように港ちゃんがコソッと耳打ちをしてくる。



「う、うん」


「だよねー。忘れてないよねぇ」



うんうんと港ちゃんは頷いてる。



「おい、港。そうやってすぐに女に触んな！」



あたしの隣にいる港ちゃんの腕を引っ張る。



「いや、すぐにって俺そんなチャラくねーけど」


「お前は危ない」



ぼんっと港ちゃんの頭を叩く。



「気安く触らせんなよ」



少しだけあたしのすぐ前にきて、コソッと話していく。