「亜実!」



仕事を終え、店を出ると壁に寄りかかっている人が動く。



「……雄大」



あたしの仕事が終わるのを待っていてくれたという事実に嬉しくなってしまう。



「少し話せない?」


「……うん」



断わる理由なんてなかった。
あたしだって話したいから。

できることなら、再会したいま。
また、想いを通わせることができたならって思ってる。



「あたし車できてるから、車の中でいいかな?終電なくなるし送ってくよ」


「なんか、女に送ってもらうとか俺カッコ悪ぃな」


「いいからいいから」



雄大の背中を押して、お店の横にある駐車場へと歩く。



「なんか車とか、ほんと時が流れたんだなっね感じるわ」


「そうだね……」



あのころ高校生だったあたしたちは当然、車の免許なんてもっていなかった。



「雄大は美容師やってるの?」


「ん。高校卒業して専門いって、今年からな。亜実は専門はいかなかったんだよな?」


「うん。見習いとして働きながら通信で、あたしも去年卒業して今年から正式な美容師だよ」



一緒の道を変わらず進んでいたあたしたち。