「亜実は、ドレスが似合ってるね。可愛い」


「……え?」



昌也にこんなふうに言われるなんて思わなくて、驚いてしまう。



「ありがとうございました!また来てくださいね!」



カラーンと音が鳴って、女の子がお客さんと出てくる。



「香莉菜……?」



お客さんに頭を下げる後ろ姿に昌也の動きがとまる。



「あれ、亜実」



昌也の前にいるあたしにきがついて、笑いかけてくれる。

この前のような感じはもうなかった。



「香莉菜……」


「……っ」



あたしの後ろから聞こえる声に香莉菜の表情は固くなる。



「あたし、先に戻るね」



2人の邪魔はしてはいけないと、そう告げてドアを開ける。



「待って、亜実!」



聞こえてきた香莉菜の声に開けたドアを閉じて振り向く。



「……ん?」


「昌也ね、亜実のことが好きなんだよ」



香莉菜が近づいてきてあたしの肩をポンッと叩く。



「は!?」



香莉菜の口から出たとんでもない言葉に思わず声がおおきくなる。



「おいおい、なんで言うかな」



香莉菜の後ろで苦笑いをしている昌也。