「3回目にして一緒に行けないかと思った」


「約束、したろ。やぶんねぇよ」


「ふふ」



春樹はそうだ。
何があっても、約束は守ってくれる。

百合さんに対しても誠実さをみせてくれたらいいのに。
またケンカになるのも嫌だから、黙っておくけど。



「やっぱここに来ないとだよね」



春樹の車に揺られること30分。
あの病院の目の前にあった海にたどり着く。



「なんが戒められるよな」


「ほんとね」



あたしたちが犯した罪は決して消えることはない。
それでもあたしたちは生きていかなくちゃならない。



「そういえば、あの週刊誌の人は彼女じゃないの?」


「いや、あれ百合」


「え!?でも、百合さんは気づいてなかったよ」


「マジかよ。アイツらしいな」



くすくすとおかしそうに笑ってる春樹は、百合さんのことまんざらでもなさそうに見える。



「百合さんのこと、本当になんとも思ってないの?」


「ないよ」


「春樹くんはさ、好きな人いないの?」



百合さんがダメな理由。
別に好きな人がいるから、とかそういうことなら仕方がないと思った。