百合さんが寂しそうな顔になる。

せっかく、春樹が来るからって嬉しそうだったのに。

なんだかいたたまれなくて、胸が痛む。



「お前、余計なことはするなよ」



だいくんにそう言って、出口へと向かう階段を登る。



「あたし見送ってくるね!」



百合さんが慌てて、春樹のあとを追う。



「ふへー、春樹くんが百合の想い人だったとはねぇ」



だいくんがふぅーっと息を吐く。



「うん……」



あたしも普通にびっくりしてる。

でも、春樹はすごくだいくんを気にしていた。



「だいくんって春樹と知り合いだったんだね」


「あー、まぁ幼なじみみたいなもん」


「そうなんだ……」



幼なじみとなると、雄大のことも知ってるのかなとそう繋げてしまうあたしの脳みそ。

でも、聞くこなんかできない。
知ってたところでどうすることもできない。

高校生の頃ならもっと積極的にいけたのかもしれないね。
大人になった今、少し考えて行動をしてしまうから、臆病になってしまった気がする。