「あ、百合。今日兄ちゃんこれなくなったみたい。仕事で」


「そっか」



さほどショックそうではない百合さん。
そりゃ、好きな人がいるもん。
別な人なんて来なくてもいいよね。



「お前……」



だいくんの顔をみて目を見開いている春樹。



「え!?春樹くん!?」



だいくんも春樹を見て目を見開いている。



「春樹くんまた週刊誌載っちゃうよ!?」



だいくんが春樹の腕をつつく。



「うるせーよ。大体なんであいつを呼ぼうとしてんだよ……」



春樹とだいくんは昔からの知り合いなのだろうか。
随分とお互いのことを知っているような感じがする。



「会わせたいから?」


「お前……分かってたのかよ」



ふたりが話してる内容はよくわからない。
でも、ただならぬ雰囲気を感じる。



「ねぇ、なんのはなし?」



百合さんが春樹の服のすそを引っ張る。



「なんでもねぇ、帰る」



一層不機嫌になった春樹が百合さんの手を振り払う。



「え?もう?」


「飲む気分じゃねぇ」


「そう……」