「百合さん」


「亜実ちゃん！今ね、好きな人きてるの！トイレに行ってるからちょっと待っててね」



ソファーに座って飲み物を作っていた百合さん。

好きな人が来てると嬉しそうな百合さんはとてもかわいい。
いつもかわいいけど、それ以上だ。



「ごめん、百合。トイレ混んでて」


「あ、ううん」



カーテンを開けて入ってきた男の人の腕を引いて、自分の隣に座らせる。

あたしの目の前に来たその人は、春樹のファンだと言っていた彼女らしくとても春樹に似てるいる人だった。



「どういうこと？」



目の前の百合さんの想い人があたしのことを見る。



「……え？」


「なに？ふたりがよかった？」


「違う」


「……え」


あたしはさっきから同じ言葉しか出ない。

まさか思わないでしょ。
百合さんの想い人として現れた、彼女の好みにぴったりな人が春樹だなんて。

脳内では、似てる人として処理されてしまうのは仕方がないことだと思うの。