雑誌の表紙には〝HARU熱愛発覚!〟の文字。

──HARU
それは、メジャーデビューした春樹のことだったりする。

2年前。
ライブハウスにきていたプロデューサーに見初められて、メジャーデビュー。

東京にいっちゃって、いまではあまり会えない。

でも1年に1度。
あの日いなくなったお腹の中の子。
あの子の命日には、必ずオフをとって帰ってきてくれる。

あの日の約束を忘れないでいてくれるんだ。

正直、あっちに行って仕事が忙しくなるし。
ファンだってたくさんいるし、人気者だし。
あたしのことなんて、すぐに忘れられちゃうんじゃないかなって思ってた。

それでも、忘れずに来てくれた1年目は、本当に嬉しくて泣いちゃったんだよね。



『ばーか、いつまでも亜実は大切なんだよ。忘れるわけねーだろ』



そう笑ってぽんっと頭を撫でてくれた。

春樹の存在が遠くなったっておもってたけど、そんなことなかった。
有名人になっても、春樹は春樹だった。