「ゆ、り……?」



渡された紙は名刺のようで。
〝百合〟と書かれていた。



「あたしのこと」


「源氏名ってやつですか?」


「うん。でも、本名も百合恵だから変わらないんだよ」


「百合さん……」



名前を口にすると満足そうに彼女は笑った。



「うん。あたしこれでも1番人気だったりするんだよ」


「わっ!ナンバーワンってやつですね!すごい!」


「来てくれるお客さんのおかげだけどねー」



ナンバーワンになれるのは、簡単な事じゃないと思う。
ちゃんと百合さんがお客さんのことを考えてるからなんだろうな。



「また、好評な髪型にできるように頑張りますね!」



そんな百合さんの手助けができればと、俄然気合が入る。



「あ!」


目の前にある雑誌の表紙をみて百合さんが声をあげる。



「どうしました?」



百合さんの声に、彼女がみてる雑誌の表紙に目を向ける。



「あー、HARU。好きなんですか?」


「好きー!超タイプなの!」