「あ、知っててくれたんですね!」


「あぁ……まぁ、みんな知ってるほど有名じゃゃないか」



春樹のお母さんはたしかに有名で、テレビに出てるから顔も知られている。
でも、お父さんがひと目みただけでわかるなんて、意外だった。



「すまない、春樹くん」



全てを拾い終わって、立ち上がったお父さんが急に春樹に頭をさげる。



「え?」


「お父さん?」



あたしも春樹も急に謝って来たお父さんに首をかしげた。



「すまないが、君と亜実の交際を認めるわけにはいかない」


「え……?」



お父さんの口からでてきた言葉に困惑を隠せない春樹の声。



「亜実も、別れなさい」


「どうして……」



だって、春樹に感謝してたじゃん。
安心して任せられるような感じでホッとしてたのに。
春樹もホッとしてたはずなのに。



「あたしからも反対するわ」



ずっと黙っていた春樹のお母さんからも反対の言葉が聞こえる。



「はぁ!?」



春樹がお母さんの肩を掴む。



「諦めなさい」