「あ、えっと、いまお付き合いしてる……」



お父さんには彼氏を紹介したことはなかったから、なんだか戸惑ってしまう。



「あ、あの!赤嶺春樹といいます!」



慌てたようにお父さんの前に駆け寄って、頭を下げる。



「赤嶺……春樹くん……?」


「はい、そうです」


「……そうか」



眉をひそめて、何かを考えているお父さん。



「お父さん?」


「いや、なんでもない。春樹くんも座ったらどうだ?」



隣に置いてある椅子をぽんっと叩く。



「あ、はい!あ、亜実これ」



袋をあたしの布団の上に置く。



「あ!ありがとう!」



春樹に雑誌を頼んでいたことを思い出す。



「母さんが言ってた、亜実の支えになってくれてるってのは君のことだよな。いつもありがとう」



にこやかに笑うお父さんが春樹に頭を下げる。



「い、いえ!俺が好きでやってることなので」


「俺はいつも海外にいてね、なかなか見に来ることができないから君のような相手がいてくれると安心できるよ」