「はる……!?」



ノックをしても反応がないので、ドアを開けるとそこには抱き合う春樹と女の子の姿。



「あ、み……」



春樹が目を丸くして、驚いて、そして相手の女の子を突き飛ばす。



「痛いよ、春樹くん」


「悪ぃ」



ふぅっとため息をついたあと、その子にカバンを手渡す。



「わかった。帰るわよ」



ニコッと笑って、春樹からカバンを受け取る。



「じゃあね、春樹くん」



春樹に手を振って、そしてすれ違いざまにあたしのことをキッと睨んで、邪魔しないでよねと呟いていった。



「……なに?」



これ、何が起きているのだろう。
春樹だけは違うの思った。

まさか、また和樹ときみたいに……?
なんて思ったけど、春樹からはそんな素振り見たことがない。
もちろん和樹からもなかったけど。

でも、春樹が雄大への当てつけに何かをするようには感じない。
それに雄大を恨むような理由も見当たらない。