春樹は多分遠慮している。
あたしがまだ雄大を忘れられていないことに、春樹はずっと気づいているから。

エスパーなのかなって思うくらいに、あたしの気持ちをなんでもお見通しで本当にすごい人。



「あ、香莉菜の好物発見！」



香莉菜が大好きなお菓子と他にもみんなで食べれそうなものをかごの中に入れていく。



「あとはジュースか」



ドリンクコーナーからそれぞれの好きな飲みものを手に取りかごに入れていく。



「あ」



あたしの好きなジュースが最後の一個。

その飲み物のところまで駆け寄る。

あと一歩でその飲み物の前、というところで前にいた男の人がそのジュースに手をかける。



「あーーーー」



焦りのあまり思わず叫ぶと、手をかけようとしていた人がゆっくりと振り向く。

やばい、誰かもわからないのに叫んでしまった。
そりゃあびっくりして振り向くよね。



「ふっ、変わんないね」



振り向いたその人がおかしそうに笑ってる。