『ちょっと！雄大くん彼女と別れたみたいだよー』


『やっとだねー。これでチャンスがぁぁ』



みんなが口々に言ってるい声がたくさん聞こえた。

毎日のようにそんな噂が耳に入ってきていた。

全部に耳を塞ぎたかった。
それでも、お構いなしに流れてくる声。



「亜実。次、音楽室だよ！行こう」



席でぼーっとしていると、香莉菜に声をかけられる。



「うん！」



香莉菜の声に、ハッとなって席を立ち上がる。

新学期が始まってから、一ヶ月。
新しいクラスにも慣れた。

雄大と別れてからも一ヶ月。
雄大と別れたという現実だけはなかなか受けいることができなかった。


いつになったらこの空っぽの心は埋まるのかな。
埋め方がわからないよ。


雄大が住み着いて離れない、この心。
あたしの心からいつになったら、いなくなってくれるの？

忘れたいのに、忘れたくない。
でも、どうしも辛い。

自分ではどうすることもできない、この状況にもがいていた。