初対面の人にこいつ呼ばわりされたことがなんだか腹が立って、気がついたら叫んでいた。

あたしと雄大の初めての会話は、あまり印象がよくなかった。
でも、ここがすべてのはじめだった。



『ごめんねー。初対面の人になぜか冷たいの!一種の人見知りだと思って』



雄大の頭をカバンで叩く。



『痛っ!そんなんしらねーよ。名前もしらないようなヤツに優しくする意味もないだろうが』



香莉菜に殴られた頭を押さえてあたしをチラっと見る。



『亜実!神崎亜実!これで文句ある!?』



あまりにも腹が立ちすぎて、けんか腰になっていた。



『別にはじめから文句なんて言ってねぇけど』


鼻でふっと笑い飛ばされて、第一印象は本当に最悪だった。



『ごめんね。こいつ牧野雄大っていって、あたしの彼氏の幼馴染み』



香莉菜があたしたちの間に立つ。



『勝手に紹介すんな。とっと行くぞ!』



依然不機嫌な空気で歩き出す。



『もー!』



香莉菜が慌ててカバンを持って、雄大に着いていく。