あたしは物心ついた頃には親は離婚していて、お母さんはいなかった。
お父さんはいるけど父親とは言いがたいんだよね。
酒癖悪くて時々暴れだすし、そもそもあたしに関心ないらしく
家にいたって会話という会話がない。

だから何で離婚して、お父さんがあたしを引きとったのかずっと疑問だった。
お母さんはもっとあたしに興味なく、お父さんに押し付けた?
そんな考えもあったけど、お母さんの顔すら思い出せないんだから真実なんてわからなかった。

でもそんな謎も昨日解けた。

印鑑が必要で、お父さんの部屋をあさっていたときのこと。
ある引き出しを開けたら何十枚もの写真が散乱していた。
目についた写真にうつっていたのは、まだ1,2才くらいの二人の赤ちゃん。
洋服も着てたし、男か女かは判別できなかったけど顔はうり二つ。

「何これ?」

他の写真にも手を伸ばす。
どの写真にも一枚目見たのとおなじ二人の赤ちゃんがうつっている。

え?お父さん?

ある写真はお父さんが赤ちゃん二人を片手ずつ抱っこして
今では見ることのない、幸せそうな顔でカメラに微笑んでいる。

その次の写真・・・

「えっ」

思わずあたしは声をあげてしまった。